tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政府の信用

2008年10月27日 12時17分46秒 | 社会
政府の信用
 いわゆる小泉改革の中で、規制緩和、民営化が推進されました。総合的、客観的な判断が極めて難しいこうした問題の中で、「郵政民営化」を掲げた小泉さんが圧勝するといったことが起こったりしましたが、この背後には、国民の「官」に対する不信があったように思えてなりません。

 典型的には天下りや官製談合だったり、社会保険庁の問題や居酒屋タクシーだったり、さらにその背後には、国や地方の財政が毎年大幅赤字だったりということがあって、「政府に任せておくと国民は損ばかしさせられるのではないか」という対政府の不信感があるのでしょうか。

 ところで、国民負担率という数字があります。国民が稼ぎ出している毎年の国民所得の中で、何パーセントを政府に使わせているか、という数字です。計算は簡単で、毎年の個人や企業が納める「税金と社会保険料」を合計して、その年の国民所得で割れば良いわけです。

 主な国の国民負担率を比べてみますと、(各国は2005年実績、日本は2008年度予算ベース)
スエーデン    70.7パーセント
フランス     62.2 パーセント
ドイツ       51.7パーセント
イギリス     48.3 パーセント
日本       40.1 パーセント
アメリカ      34.5 パーセント
こんな感じで、北欧が高く、ヨーロッパ大陸諸国が続き、アメリカが最低で、日本はアメリカに近い、ということになっています。
 
 スエーデンでは国民は、稼ぎの7割も政府に預けて、安心しているのです。
 アメリカは伝統的に政府に頼らない国ということでやってきていますから、その低さは理解出来ましょう。国民健康保険などはない国で、格差社会などと騒がず、アメリカンドリームが素晴らしいと考える国です。
 
日本は平等思考で、 格差を嫌う国ですが、政府に頼んで格差を縮小してもらう部分(所得再分配機能部分)である国民負担率を上げることに反対が多く、なるべく政府に頼らないようにしようというのは、何故でしょうか。

「政府に金を持たせると碌なことはしない」というまさに「感情的」な部分が、大きな役割を果たしているとすれば、かつては国民の認識だった「官は悪いことはしない」という「官の倫理感」の徹底が、改めて国民に理解されないと、明日の良い日本を作るという政府の目的も、なかなかうまくいかないのではないでしょうか。


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